6月5日は「世界環境デー」です。1972年6月5日からストックホルムで開催された「国連環境人間会議」を記念して定められた、国連による国際的な記念日です。環境デーの6月5日を中心に、6月の1ヶ月は「環境月間」として設定され、各地で環境セミナーや展示会などが行われたりしています。
今回は「環境月間」にちなんで、環境をテーマにしたアニメ作品について調べてみようと思います。
環境をテーマにしたアニメ①「風の谷のナウシカ」
今から38年前、1984年に公開された映画「風の谷のナウシカ」は、未だに根強いファンも多く、日本テレビ系列で放送されている金曜ロードショーでは約2年に1回のペースで放送され最多放送回数を記録しています。
直近で放送された2020年12月の放送回では「マスクをしないと生きられない世界」というキャッチコピーで宣伝され、コロナ禍の今の時代に重なり、深く刺さったのでは無いでしょうか。
「腐海」に覆われた地が示すもの
物語の舞台は産業革命から1000年、人類社会は「火の7日間」と呼ばれる最終戦争後の際に撒かれた有毒な汚染物質のせいで滅び、そこから更に1000年経った未来です。陸地のほとんどは「腐海」と呼ばれる有毒な胞子を発する植物の森に覆われており、砂漠化した荒地が多いのが特徴です。
これは、今の地球のゆく末を表しているのかも知れません。現に、我々人類は、高度経済成長により、高度で文化的な生活様式を手に入れましたが、その影響で大気汚染や水質汚染が進み、公害問題や地球温暖化による大地の砂漠化などが進みました。このまま何もしなければ、いつの日か地球は「腐海」に覆われると警笛を鳴らしていたのではないでしょうか。
自然との共存
この物語は、ただ警笛を鳴らしているだけではなく、環境汚染を防ぐためどうすべきかをも導いてくれていると思います。主人公のナウシカは、腐海の植物を採取し、有害な胞子が出ないよう育てます。“綺麗な土と水では、腐海の木々も毒を出さないことがわかったの”というセリフから、植物が悪いわけでなく、人間が汚した土や水が植物を汚し、人間に脅威を与える存在になったことがわかります。そして、今度は人間がその土や水を綺麗にすることで、また自然と共存できるということを伝えているのではないかと思いました。
環境をテーマにしたアニメ②「天空の城ラピュタ」
1986年公開の「天空の城ラピュタ」は、宮崎駿監督が小学校の時に考えていた架空の作品が元となって生まれた作品だそうです。子供の頃にすでにラピュタを考えていた監督はやはり只者ではないなと思えますね。
高度な科学力と文明の発展の先にある未来は
物語は、かつて栄えた天空の帝国「ラピュタ」で作られた、天空に浮くことのできる飛行石を身につけた少女「シータ」と、空から舞い降りてきたシータを助けた少年「パズー」が、飛行石を狙う者から逃げながら、天空の城ラピュタを目指す冒険のストーリーです。
かつての「ラピュタ」は、高度な科学力や文明で発展し、天空から世界を征服していた帝国でしたが、その行く末は崩壊し滅びていました。
この映画が公開された時代は、日本はバブル景気が始まり、便利なものが次々と生み出され発展して行きました。そして、ラピュタが崩壊したように、バブルも崩壊していった歴史を皆さんご存知ですよね。ラピュタを通じて、景気に沸く日本人へ、この景気がいずれ終わりがくるという警告を示していたのかも知れません。
セリフに込められた環境破壊への警笛
映画の終盤に、主人公・シータがラピュタの力で世界征服を企むムスカに対して放ったセリフがあります。
“今は、ラピュタがなぜ滅びたのか、私よくわかる。ゴンドアの谷の詩にあるもの。『土に根を下ろし、風と共に生きよう。種と共に冬を超え、鳥と共に春を歌おう。』どんなに恐ろしい武器を持っても、沢山のかわいそうなロボットを操っても、土から離れては生きられないのよ”
これは、人間は便利さを求めて文明の発展させるために、自然を壊し続けてきたことに対し、文明の発展だけではいつか終わりが来る、自然の声に耳を傾け「自然と共に生きよう」と示してくれてると感じました。
環境をテーマにしたアニメ③「もののけ姫」
1997年に公開されたこの映画は、ジブリ映画の中で最も「人と自然との関わり方」についてのメッセージが強く感じられる作品となっています。また、今年オープンのジブリパーク内に2023年秋に「もののけ姫」を舞台とした「もののけの里」がオープンすると発表されました。
物語の背景からストレートに伝わるメッセージ
物語の舞台は、室町時代の日本です。まだ太古の原生林が多く残り、そこには沢山の獣達が暮らしていました。しかし、人間達は自分達の発展のため、生きるために原生林を伐採し土地を得ていったのです。もうお分かりですよね、我々人類が過去に行ってきた、森林伐採による自然崩壊を描いています。
自然との共存を訴える「共に生きよう」というセリフ
映画の終盤、主人公・アシタカが森で育ち森を守る少女・サンに「サンは森で、私はタタラ場で暮らそう、共に生きよう」と語りかけるシーンがあります。まさに自然との共存を伝えているのではないでしょうか。それぞれの場所で、相手を想い考え、共存の道を選べば争いも起きず、お互いの発展になるのではないでしょうか。
まとめ
この記事では、「6月は環境月間!環境問題をテーマにしたアニメ作品3選」と題し、ジブリ作品の中から3作品をご紹介してみました。今年の11月にはいよいよジブリパークもオープンします。映画だけでなく、観光分野でも私たちに様々なテーマや刺激を与えてくれるジブリ作品にこれからも、沢山学ばせてもらいたいですね。